貿易銀
広い意味では、明治4年に実施された新貨条例によって発行された1円銀貨も貿易銀と呼ばれていますが、日本の古銭の取引市場では、明治8年(1875年)から発行された「貿易銀」と表記されたものだけを指します。
貿易銀は明治8年から明治11年までの4年で、3,056,638枚が発行されましたが、貿易に使ってしまったお金ですから、日本に現存するものは少なく、古銭の価値が高い特別な銀貨と言えます。
古銭の買取市場では、本物の貿易銀であれば10万円以上の値が付くでしょう。
人気のある貿易銀
インドシナ貿易銀(いんどしなぼうえきぎん)
当時フランスが、安南、カンボジアおよびラオス王国を保護国としてインドシナ東部を領有していました。
1885年よりメキシコ銀への対抗手段として造られましたが、広く流通することはありませんでした。
買取価格は通常数千円で取引されることが多く、未使用、並年号などになると一万円をこえることもあります。
あまり価格が高騰しない分、古銭のことを知らない人でも手をだしやすく、気軽に取引しやすい硬貨ともいえます。
硬貨の買取額はお店によって差がありますので、価値の評価をだせる鑑定士へ依頼するようにしましょう。
貿易銀(ぼうえきぎん)
希少価値 | ★★★★☆ | |
---|---|---|
相場価格 | 100,000〜499,999円 | |
時代背景 | 明治8年 / 1875年 / 明治時代 | |
素 材 | 銀 |
貿易銀は19世紀後半に、貿易のためだけに発行された大型銀貨のことで、アメリカ合衆国、日本およびイギリスで使用されたました。
日本では1875年(明治8年)から発行された「貿易銀」と表記された銀貨をさしますが、1871年(明治4年)から発行された一円銀貨すべてを貿易銀をいう場合もあります。
近代銭の中でも特に人気で、流通量が少ない明治10年の貿易銀は十万円以上の買取価格が期待できます。
ただ贋作も多いため、プロの鑑定士でないと正しい価値を見出すのが難しい場合もありますので注意が必要です。
メキシコ貿易銀(めきしこぼうえきぎん)
貿易銀はもともと15世紀後半から東洋、主に中国などから品物を輸入するために作られた決済のための硬貨です。
メキシコ貿易銀は1535年から製造されはじめ、ヨーロッパや中国、世界各国で流通し主導的な役割を果たしました。
また明治時代の日本の貨幣制度にも大きな役割をはたしたのです。
主にメキシコ貿易銀は8リアルクラウン銀貨と呼ばれており、多少のプレミアがつくこともあります。
買取価格も数千円から数万円と、古銭初心者でも購入しやすい金額設定です。
買取の際は、鑑定士が在籍する古銭・コインの買取専門店での査定が安心できるでしょう。
イギリス貿易銀(いぎりすぼうえきぎん)
希少価値 | ★★☆☆☆ | |
---|---|---|
相場価格 | 1,000〜9,999円 | |
時代背景 | 1895年 / 明治時代 | |
素 材 | 銀 |
1800年代、イギリスと東洋との貿易のアヘン戦争で中国は香港をイギリスに割譲したことから貿易がこの地に集中することとなり、イギリス貿易銀が生まれたのです。
一時はメキシコドルに押され製造が中止されましたが1895年再度発行されました。
通常は数千円から一万円程度で取引されることが多いですが、極美品になると数万円する品もあり、手をだしやすい古銭といえます。
買取を検討中でしたら、一度は専門店に相談してみる事をおすすめします。
アメリカ貿易銀(あめりかぼうえきぎん)
希少価値 | ★★★★★ | |
---|---|---|
相場価格 | 100,000〜499,999円 | |
時代背景 | 明治6年 / 1873年 / 明治時代 | |
素 材 | 銀 |
アメリカ貿易銀はアメリカが東洋の中でも特に中国との貿易を発展させるために作られた貿易専用の銀貨です。
メキシコ銀貨への対抗のためでもありました。
従来の1ドル銀貨よりも増量して製造され、トレードダラー銀貨と呼ばれています。
相場は非常に振り幅が大きく、数万円前後から数十万円で買い取りされています。
ミントステイトなどの極美品は五十万円をこえ、非常に優れている品は一千万円近くで取引されることもあります。
慎重な鑑定が必要なので、買取を検討中であれば信頼できる古銭商に見てもらった方がよいでしょう。
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